人工中絶手術。そう聞くだけで、とても不安ですよね。
中絶手術に関する技術は確立されており、危険はとても少なくなってきました。しかし、手術を受ける上で何らかのリスクを負うのは避けられません。
この記事では、人工中絶手術にはどんなリスクがあるのかをご紹介します。
妊娠初期の中絶手術のリスクは?
ではまず、妊娠初期に行う中絶手術の方法と、それに伴うリスクを見てみましょう。
妊娠初期とは6週~11週までの、妊娠12週未満のことを指します。
手術中の麻酔によるアレルギー
中絶手術は、静脈性の全身麻酔で行います。
患者さんの体質により、麻酔にアレルギーが出てしまう場合があります。
その結果、呼吸が一時的に止まったり、血圧が低下したりなどの症状が考えられます。
子宮内感染
妊娠初期の中絶手術方法は、主に2つ。
・掻爬法(そうはほう)・・・子宮内に、鉗子と呼ばれる細い器具を入れて子宮内の胎嚢を掻き出します。
・吸引法・・・子宮口を開き、吸引できる器具を挿入し、子宮内の胎囊を吸い出します。
このどちらの方法も、少なからず子宮を傷つけてしまいます。その傷からまれに感染症を起こしてしまう場合があります。
子宮穿孔
妊娠中の子宮は、通常よりも柔らかく変化しています。その為、稀ですが、中絶手術に使われる器具で子宮を傷つけ、孔(あな)を開けてしまう場合があります。
小さな孔であれば自然治癒することもありますが、大きな孔になると出血が多くなってしまいます。その場合、開腹手術を行い孔を縫合しなければいけません。
妊娠中期の中絶手術のリスクは?
では次は妊娠中期の中絶手術のリスクを見てみましょう。
妊娠中期とは、妊娠12週以降のことを言います。妊娠中期になると、中絶手術の方法が変わってきます。子宮口を開く、子宮収縮剤で人工的に陣痛を起こし、流産させ胎児を取り出します。妊娠初期の手術よりも、身体に負担の大きい手術です。
子宮頸管を傷つけてしまう
出産経験の無い方がこの中絶手術を受ける場合、子宮の出入り口の子宮頸管を広げる処置を行います。その時に子宮頸管を傷つけてしまう可能性があります。
子宮破裂
稀なケースですが、陣痛が強すぎる場合、子宮破裂を起こしてしまう場合があります。
多量の出血
大きくなった子宮が収縮するのが遅いなどの症状が起こった場合、通常の出産と同じように多量の出血をすることがあります。これを弛緩出血といいます。
中絶手術後の妊娠について
では、中絶手術を行った後に妊娠については、どの程度影響があるのでしょうか。
人工中絶手術を受けても、それだけで妊娠・出産に影響が出るということはありません。
適切な処置をしていれば、その後に妊娠には全く問題がありません。
しかし中絶手術を繰り返すと、子宮内部が荒れてしまいます。子宮が癒着を起こし、受精卵が着床しにくく、不妊症になる可能性があります。
妊娠初期での中絶手術で考えられる後遺症
では、中絶手術後に考えられる後遺症についてご紹介します。こちらも中絶手術を受ける時期により、身体への負担が違います。まず、妊娠初期から見ていきましょう。
生理不順
中絶手術の影響により、ホルモンバランスが乱れることがあります。そうすると、月経不順や無月経などの症状が表れてきます。この症状は数ヶ月に渡って続くこともあります。
不妊症の原因に
手術を行った際に、子宮を傷つけてしまうと、子宮や卵管で炎症を起こしてしまいます。
これが、不妊症や子宮外妊娠などの原因となります。
妊娠中期での中絶手術で考えられる後遺症
上記で述べた妊娠初期での後遺症は、妊娠中期での中絶手術にも当てはまります。ではその他、妊娠中期での中絶手術で考えられる後遺症について見ていきましょう。
中絶後遺症候群(PAS)になる可能性
これは妊娠初期の中絶手術を受けた方も同様ですが、中絶手術後、約20%の方が心的外傷後ストレス(PTSD)になると言われています。この原因が中絶による場合、中絶後遺症候群(PAS)と呼ばれます。
妊娠中期での中絶は、身体への負担はもちろん、心に受けるダメージが大きくなっています。中絶への罪悪感から、精神的に不安定になり、「過剰反応」「侵害行為」「抑圧」の3つの症状が出てきます。
これは攻撃的になる、睡眠障害、苦悶発作、中絶した時のことが蘇るフラッシュバック、子供を避けるようになる、自殺願望、など様々な症状が出てきます。
またパートナーとの気持ちの行き違いから、男性不信になる女性も多くいます。
人工中絶手術で考えられるリスクまとめ
人工中絶手術は、心と身体双方にとても負担のかかる手術です。特に心にかかる負担は、普通の病気で受ける手術とは段違いです。
中絶手術を繰り返すと、重大な後遺症が残るリスクも上がってきます。
中絶手術を受ける際は、安心でき、自分の要望や不安に応えてくれる病院を慎重に選びましょう。