「急にお腹が痛い！」「意識が遠のいてきた！」こんな症状の人は子宮外妊娠の疑いがあります。子宮外妊娠になってしまうと非常に重篤な場合は死に至ることもあるので早急に手術を受ける必要があります。子宮外妊娠についての情報をご紹介したいと思います。
子宮外妊娠とは
人の精子と卵子は受精後に子宮の内部の子宮内膜に着床します。このような正常な妊娠とは異なり、異常な場所に着床してしまうのが子宮外妊娠です。
女性が排卵した卵子が受精するのは排卵後約12〜24時間程度の間に限られていて、この間に受精した卵子は１週間ほどかけて子宮内の子宮内膜に運ばれていきます。受精卵というのは細胞分裂に非常に大きなエネルギーを使っており、非常に急速に成長することができる独特な細胞です。このため、泳ぐのにはあまり適しておらず卵管の筋肉や細胞によって子宮に運ばれているのですが、この運搬機能に異常が起こると子宮以外の場所に妊娠してしまうのです。
子宮外妊娠がよく起こる場所は卵管と小腸です。卵管は２つの動脈から栄養を受け取っている部分で、この部分に異常が起こると非常に重篤な出血を起こしてしまいます。お腹の内部が血の海のように出血してしまうと意識の喪失や急激な腹痛など様々なダメージを負ってしまいます。これは小腸でも同じことが言えます。小腸も非常に大量の血液を受け取っている臓器で、万が一受精卵が着床してしまった場合には破裂して大量出血を引き起こす可能性があります。
子宮外妊娠の治療は手術療法のみ
子宮外妊娠の治療方法は基本的に手術による胎児と付属器官の摘出です。非常に残念なことですが、子宮外妊娠は母体に対する負担が非常に大きいので、早急に中絶手術を行わなければなりません。もし卵管破裂や小腸の破裂などのトラブルが発症していない段階や非常に初期の段階で子宮外妊娠を発見できたのであれば内視鏡という小型カメラを使用した手術を行うことがあるのですが、着床した部位によっては開腹手術を行うことがあります。これらの治療は大掛かりなものではないので、短期間に終わるものが一般的ですが、破裂を引き起こしていたり、神経や血管の走行次第では非常に治療が困難になる場合があります。このため、妊娠が発覚した段階で必ず医師の診察を受ける必要があるのです。
子宮外妊娠の診断は超音波を用いた画像診断で検査ができます。母体に負担をかけることなく検査が完了するので、子宮外妊娠の有無などのトラブルを確認しておくことが大切です。子宮外妊娠の治療には、卵管圧出術や卵管切開術や卵管切除術などの手術療法以外に細胞の分裂を抑える薬を注射することで受精卵の働きを低下させる治療法があり、医師の適切な診断のもとに治療が行われています。
３費用は保険が適応される◆
子宮外妊娠の手術は通常の中絶手術と異なり保険が適応されます。保険によって治療を終えることができるので、費用の負担は非常に少額ですみます。腹腔鏡で手術が可能な軽度の症例であれば１５万円程度、開腹手術を行う場合では30〜40万円くらいの手術費用がかかると考えられていますが、近年では自己負担額が高額な医療の場合には高額医療費制度を用いた治療をうけることができるので、費用自体は非常に定額に抑えることができます。
高額医療費の申請は居住地の自治体に書類を申請することで受けることができます。書類作成には病院に出向く際の交通費や日常的な治療薬の購入などの費用の合計をもとに算出されるので、レシートや領収書を保存しておくと役に立ちます。
４子宮外妊娠は非常に高リスク◆
子宮外妊娠は非常に危険な病態で、放置しておくことはできません。万が一胎児を含めた胎嚢という風船のような構造が破裂した場合には非常に激しい出血が起こり、短時間の間に失血してしまうことがあります。女性にとって子宮外妊娠は非常に不安なものですし、産婦人科の診察を受けるのも気が引けてしまうものですが、命に関わるトラブルは見過ごしておくことはできません。妊娠を計画した段階で定期的に産婦人科医による診察を受けるように心がけましょう。
５子宮外妊娠を疑ったら◆
子宮外妊娠の可能性が高くなるのは以下のような条件に当てはまる人です。
●開腹手術の経験がある
●性感染により子宮や卵巣の炎症の経験がある。
●生まれつき子宮や卵巣の形に異常がある。
このような事項に心当たりがある人は子宮外妊娠の症状に注意が必要です。急激な腹痛・めまい・出血・意識の低下などが見られた場合には子宮外妊娠の破裂の可能性があり、早急に病院で治療が必要です。
残念ながら子宮外妊娠はなかなか症状に気がつくことができないので、初期の段階で自力で発見することはできません。生理予定日くらいに腹痛が異常に長く続き、徐々に痛みが増してくる場合には異常な妊娠が起こっている可能性を考えるようにすると早期発見に役立つかもしれません。