中絶と流産。中絶すると流産しやすい?流産の手術と中絶手術は同じ?

中絶すると流産しやすくなる、という噂を聞いたことがある人もいると思います。中絶を考えている人にとっては気になるところですが、この話には信ぴょう性はあるのでしょうか。また、中絶と流産の手術の違いについてもみていきましょう。

中絶手術をすると流産しやすくなるの?

19ed6f88adb67c2a18216d10f2b5c23a_s
中絶手術をすると流産しやすくなるという話を聞いたことがある人も多いと思いますが、これは間違いです。中絶手術が無事に成功し、手術後も医師の指示を守った生活をしていれば、中絶手術が原因で流産しやすくなることはありません。

しかし、中絶手術の際に子宮内に傷ができてしまったり感染してしまったりすると、妊娠しにくくなる、あるいは妊娠することができなくなる可能性はあります。

妊娠5週目から12週目の初期中絶では、掻破法あるいは吸引法で手術が行われます。掻破法ではスプーン状の器具やハサミ状の器具を使用して胎児や胎盤を掻き出すのですが、この時に子宮内を傷つけてしまう可能性があります。

難しい手術ではないので必要以上に心配する必要はありませんが、手探りでの施術となるため、熟練の医師が担当する場合でもリスクはゼロとはいえません。子宮が傷ついたときに問題となるのが、アッシャーマン症候群です。

アッシャーマン症候群は、子宮内膜の細胞同士が癒着してしまう子宮の病気です。これによって着床障害が起こり、妊娠が難しくなってしまうことがあります。アッシャーマン症候群では自覚症状が出ないことがほとんどのため、自分で発見することは困難です。中絶手術の後になかなか月経がこない、あるいは通常の月経とは違うと感じたら、早めに受診するようにしましょう。

掻破法では子宮を傷つけるリスクがあるのに対して、感染症の危険性が高いのが吸引法です。吸引法で使用する道具は、洗浄や滅菌に手間がかかります。そのため、殺しきれなかった菌が感染症を引き起こす可能性があります。

基本的には、中絶手術をすることで妊娠しにくくなることはありません。しかし、手術後に少しでも体の異変を感じた場合は、すぐに病院に行って医師に診てもらいましょう。

中絶手術と流産した時の手術方法は同じ?

a672ed0950cbac807531656f89335453_s
自然流産をしてしまった場合にも、通常は手術が行われます。この時に用いられる方法は、中絶手術と変わりありません。しかし、中絶手術と流産手術ではいくつかの違いがあります。

流産手術の目的

中絶手術と流産手術では、その目的が違うことは明らかです。中絶手術を受ける理由は人によって異なりますが、流産手術の目的は母体の体を守ることです。流産手術が必要な場合と不必要な場合、また流産手術をしない場合にリスク等について確認していきましょう。

流産は、進行具合によって完全流産と不全流産に分けられます。完全流産は、胎児や胎盤などの子宮内容物がすでに全て体外に出ている状態です。完全流産では出血や腹痛もおさまり始めているため、経過観察で問題ない場合が多いようです。場合によっては、子宮収縮剤などが投与されます。

不全流産は、子宮内容物の一部が子宮内に残っている状態です。出血や腹痛などの症状があり、手術が必要となるケースがほとんどです。

子宮内に異物が残っていると、感染症や炎症の原因になりかねません。一部でも子宮内に残存している場合には、手術が必要不可欠です。また、子宮内の絨毛組織を完全に取り除くことも非常に大切です。絨毛組織は、母親と胎児が物質を交換する部分。これが子宮内に残っていると、hCGというホルモンが分泌され続けるため、次の妊娠をすることができません。

流産はとても悲しいことですが、流産しないように対策することは残念ながらほぼ不可能です。そのため、たとえ流産してしまっても自分自身を責める必要は全くありません。母体に支障が残らないよう、速やかに手術を受けることが大切です。

手術医

中絶手術と流産手術には、決定的な違いがあります。お腹の中の胎児が生きているか、すでに死んでいるかです。中絶の場合は胎児が生きているため、都道府県医師会が指定した母体保護法指定医師でなければ手術することができません。

それに対して、流産の場合は胎児がすでに死んでいるので治療の一環となります。そのため、どの産婦人科医も手術をすることが可能です。

手術費用

中絶手術と流産手術では、かかる費用も大きく異なります。中絶手術の場合は保険が効かないため、自費診療となります。しかし、本人の意思にかかわらず流産してしまった場合には保険適応となります。目安としては、中絶手術は10万程度、流産手術では3割負担なので3万程度となります。

一度流産すると、流産しやすくなるの?

544931630e5d352d556073c7a7cff75a_s
一度流産すると流産しやすくなる、という噂もあります。しかし、これには医学的根拠は一切ありません。あまり気にすることなく、次回に備えて心身の健康状態を整えておくことが大切です。

逆に、一度流産すると妊娠しやすくなるという話もあります。流産することで子宮内が綺麗になるという話には信ぴょう性があるように思えますが、こちらにも医学的根拠はありません。

一度流産したことは、次回以降の流産のしやすさや妊娠のしやすさには基本的には関係ありません。しかし、流産を3回以上繰り返している場合には注意が必要です。

流産を3回以上繰り返すことを、習慣流産といいます。この場合、妊娠してもお腹の中で胎児が育つことのできない「不育症」である可能性があります。現在では、習慣流産と不育症はほぼ同義語となっています。

不育症の原因は様々で、染色体異常や子宮奇形、ホルモン分泌異常などがあります。クリニックによっては、流産を2回繰り返した時点で不育症を疑い、治療を始めるようです。自分が不育症なのではという疑いがある場合は、医師に相談してみるとよいでしょう。