実際中絶手術を行う際にはどんな種類の麻酔があるのでしょうか?
この記事では中絶手術に使われる麻酔の種類をご紹介します。
中絶手術に使われる静脈麻酔の種類
中絶手術で全身麻酔を使用する場合、点滴から薬を入れる静脈麻酔方法が一般的です。
その種類や投与量には個人差があります。
では、麻酔科医がいる病院と、そうでない病院で処置を受けた場合の平均的な麻酔方法をご紹介します。
専門の麻酔科医がいない産婦人科の場合
1.手術前に、血圧・心拍数・呼吸など、全身の状態をチェックします。
2.手術台に移動した後、点滴を入れます。心電図・血圧計などをつけます。
3.点滴に麻酔薬を入れます。麻酔薬の種類は、医師によって異なります。
ですが一般的に、痛み止め作用ある薬(ペンタゾジン)と眠らせる作用のある薬(ジアゼパムかミダゾラム)の2種類の麻酔薬が使われます。
麻酔科医がいる産婦人科の場合
1から2までの流れは同様です。
3.人工中絶手術の麻酔を、専門の麻酔科医が投与する場合は、同じ静脈麻酔でも投与する薬が違います。麻酔科医は、より短時間で身体から排出され、確実に眠らせる薬を使います。
眠らせる作用のある薬にはプロポフォールを、痛み止めの作用がある薬はより鎮痛作用の強いフェンタニルを使うのが一般的です。
プロポフォールは、ミタゾラムも投与後すぐに眠ることが出来、手術後の目覚めも早くなります。また手術後の鎮痛効果も期待出来ます。
手術後は、血圧や呼吸状態をチェックします。
また出血や発熱がないかを医師が確認した後、退院となります。
目は覚めていても、麻酔薬が身体の中に残っているのでふらつくことがあります。
手術後は出来るだけタクシーや公共交通機関で帰宅しましょう。
麻酔の種類別のメリット・デメリット
ジアゼパム
麻酔は肝臓で代謝されます。この代謝所要時間には個人差があります。
例えばジアゼパムが代謝されるまでは約11時間かかります。
中絶手術では、日帰り手術が主となっています。
ですので、ジアゼパムより早く代謝されるミタゾラムが主流になっています。
ミタゾラム
ミタゾラムはジアゼパムの約3倍ほどの鎮静効果があります。
作用するまでは2~3分程です。
日帰り手術を行う際には、約2時間で代謝されるミタゾラムが多く使われています。このミタゾラムによって、手術後の早期回復・早期帰宅が見込まれるようになりました。
プロポフォール
プロポフォールの特徴は主に3つあります。
・効き目が早い
・麻酔深度を調節しやすい
・麻酔からの目覚めが早く、スッキリとした目覚めになる
プロポフォールは投与してからすぐ眠ることが出来ます。
その時間は平均40秒程と言われます。
また他の静脈麻酔約に比べ、麻酔深度が調節しやすいのも大きな特徴の一つです。
プロポフォールは、その投与速度がそのまま患者さんの血中濃度に影響してきます。
投与速度を早くすれば、プロポフォールが多く投与され、投与速度が遅ければ、血中濃度が薄くなり、麻酔深度が浅くなります。
また目覚めの質にも大きな違いがあります。
従来の麻酔薬では目覚めが悪かったり、吐き気があったりなどの副作用がありました。
プロポフォールはそれがなく、スッキリとした目覚めになります。
プロポフォールのデメリットは、多くの長所がある一方、血圧低下・気管支痙攣などの重篤な副作用が出る場合もあることす。
その為、熟練した麻酔科医の元で使用しなければいけません。
麻酔の投与量はどのようにして決定される?
これは体質による為、個人差が大きくなってきます。
また他に身長・体重・年齢などによって決定されます。
体重が多ければ、体内の血液量が多い為、投与量を増加させる必要があります。
また麻酔の種類によっては、アレルギーが出る場合があります。それによっても、麻酔の投与量は変わってくるでしょう。
そして、他に常用している薬があるかどうかも、投与量を決める要因になります。
静脈麻酔を投与する方法は?
では静脈麻酔は、どのようにして投与されるのでしょうか?
静脈麻酔は、手術の際の鎮痛・意識消失を目的として投与されます。
静脈に直接針をさし、点滴から薬を入れます。
血液から直接麻酔薬が脳に届くので、意識を失う時間が早く、また鎮痛効果も高くなっています。
中絶手術の際には、もちろん最初に投与されますので、目が覚めたら手術が終わっています。
静脈麻酔の種類まとめ
中絶手術には、静脈麻酔が主に使われます。
その種類は、麻酔科医のいる病院とそうでない病院では全く違います。
専門の麻酔科医がいない産婦人科では、効き目が弱いけれど扱いやすい麻酔しか使えません。その為、ごく稀ではありますが、手術中に目覚めてしまう危険性も考えられます。
また、体内に麻酔が残る時間も多くなっています。
中絶手術を受ける際には、出来るだけ専門の麻酔科医のいる病院を受診しましょう。
そうすれば個人の体質に合わせた最適な静脈麻酔を受けることが出来ます。