中絶手術をする時に麻酔なしの場合はあるの?

手術といえば必須とも思える麻酔。中絶手術では麻酔なしの場合はあるのでしょうか?この記事では、麻酔なしの場合はあるのか、あるならどんな時なのかをご紹介します。

中絶手術の際、麻酔をしない時ってあるの?

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妊娠初期の中絶手術は、静脈麻酔を使用し手術をします。
しかし妊娠中期の胎児が大きくなってからの中絶は、普通の出産と同じように陣痛を起こし、胎児を外にだします。
その時は普通の分娩と同じなので、麻酔は使用しません。

妊娠中期の手術の流れはこのようになります。

・病院を受診
産婦人科で診察を受けます。その際に血液検査・心電図検査・血液凝固検査などを行います。
この検査で特に異常が認められなければ、手術日を決めます。

・手術前日
手術がしやすいように、子宮口を広げる為の器具を挿入します。
この器具は海藻で出来たラミナリアという棒状のものです。
初めに5~8本を、数時間後に10~15本を膣内に挿入します。こうして胎児が出て来る大きさになるまで、子宮口を広げます。
この術前処置もかなり痛みを伴うことから、麻酔をかけたり、処置を行わない病院もあります。

・手術当日
子宮口の開き具合を確認したら、陣痛を起こすための陣痛促進剤を投与します。
いつ陣痛が起こるかは個人差があります。1日で起こる方もいれば、長い方で3日ほどかかる場合もあります。
通常の分娩よりも急激に陣痛が始まります。

徐々に陣痛間隔が短くなってきます。その間隔が数分おきになったら分娩台へと移動します。
そして胎児を取り出します。その後胎盤などが子宮内に残っている場合は、掻爬法を使って掻き出します。
手術が終わった後は、手術後の経過を見るために数日間は入院します。

・退院後
少なくとも2~3日は安静にしましょう。
その間、入浴はできません。
中絶手術後は出血や胎盤が剥がれた時の分泌物が1週間~1ヶ月に渡って、体外に排出されます。その為、ナプキンをこまめに取り替える必要があります。
その後再び、手術の経過を見るために医師の診察を受けます。

麻酔をして中絶手術をする時のメリット

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麻酔を使用する無痛中絶手術

このように普通の分娩と同じように、胎児を取り出す妊娠中期の中絶手術には大きな痛みが伴います。
麻酔して中絶手術するメリットは何と言っても、長時間に渡って耐えねばならない陣痛の痛みを軽減できることです。
早い方でも1日、長い方では3日も、強い痛みに耐えねばなりません。
その時の身体的・精神的な負担は計り知れません。

そこで妊娠中期でも無痛手術を行っている病院があります。麻酔を特殊なものを使用したり、鎮痛剤を早めに使用するなどの方法を用います。
詳細は病院によって違うので、受診した際にしっかりと確認しましょう。

中絶手術を行う時の麻酔の種類

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では中絶手術を行う際の麻酔の種類はどのようなものがあるのでしょうか

局所麻酔

中絶手術の局所麻酔は、下半身の感覚を麻痺させます。背中に注射を打ちます。
全身麻酔よりも医療事故のリスクは低くなっています。
喘息などの持病がある場合は、この麻酔方法が使われる場合があります。

ですが、意識がはっきりしている為、今どんな手術を行っているのか分かってしまいます。
中絶手術では、トラウマになる可能性が高い為、ほとんど行われていません。

静脈麻酔

静脈に点滴で直接薬を入れる方法です。
薬を入れてから意識を失うまで数分~数十秒と早く、眠っている間に手術は終わります。

今中絶手術で最も行われているのがこの静脈麻酔方法です。
手術が終わってから1~2時間で目覚めるので、その日に帰宅することが出来ます。

この静脈麻酔にも種類があります。
その内容は専門の麻酔科医がいるかどうかによって変わります。

麻酔科医がいない産婦人科の場合

1.手術前に、全身の状態をチェックします。
2.手術台に移動し、点滴を入れます。この時、心電図・血圧計・酸素状態を知るモニターをつけます。
3.点滴に麻酔薬を入れていきます。一般的には、ペンタゾジン(痛み止めの薬)、ジアゼパムかミダゾラム(眠らせる作用のある薬)の2種類の麻酔薬を使います。

麻酔科医がいる産婦人科の場合

1から2までの流れは一緒です。
3.専門の麻酔科医が投与する薬は種類が違います。より短時間で身体から排出され、確実に眠らせる作用のある薬を使用します。
主にプロポフォール(眠らせる作用のある薬)と、より鎮痛作用の強いフェンタニルを使うのが一般的です。

中絶手術の際の麻酔の有無まとめ

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妊娠初期の中絶手術は麻酔を使うのが一般的です。
しかし、妊娠中期の中絶手術は、通常の出産と同じ方法で胎児を取り出すため、麻酔を使用しません。
ですが、近年の医療の発達により、妊娠中期の中絶手術でも無痛手術が行える病院も増えてきました。
身体や心の負担を軽くする為にも、自分の妊娠周期を確かめ、受診した病院がどのような手術方法を行っているかしっかりと確認しましょう。