妊娠中期における手術と言っても、実にさまざまです。全身麻酔を使う場合もあれば、使わない場合もあり、痛みを感じないで済んだ人もいれば、痛みで失神をした人もいます。これは、妊娠中期の中絶が普通の分娩と大きく変わらないという特徴を持っていることから生じているものであり、また麻酔を使うか使わないかによっても大きく変わってきます。
なぜ麻酔をしないのか・・・
中期の中絶手術というのは基本的に麻酔をするのが一般的です。この時全身麻酔ではないので全身麻酔と勘違いをしてしまう人がいます。
全身麻酔というのは自発的な呼吸が出来ないくらいの麻痺であり、呼吸器を必要とする麻酔を利用することを意味します。
しかし、中期の中絶の際の麻酔は、自分で呼吸ができる麻酔であることが多く、正確には全身麻酔ではないということは知っておく必要があります。(痛みを感じないという点では全身麻酔と同じです)
しかし、そもそも麻酔をしないという場合はどのような場合かと言うと、これは医師の判断によるところが大きいです。
中期の中絶は通常の分娩と同じということから、「通常の分娩では麻酔を利用しない」ということで麻酔を利用しない方針を取っている医師はいます。
また麻酔医がいないということで、麻酔をしない場合もあるようです。
通常は、麻酔を利用するかどうかの確認はされます。痛みについてや、術式等についても現在はインフォームドコンセントが基本なので、医師側は説明をする義務があるのです。
麻酔を利用して欲しい場合には、その主旨をしっかりと伝えていくことも大切です。
※麻酔を利用しない場合、麻酔を利用しない理由を聞いておくべきです。
痛みはある程度あると思っておいたほうが良い
麻酔を利用すれば激しい痛みが襲ってくるということは考えづらいです。しかし、麻酔が全身麻酔なのか、そうでないのかによって痛みの程度は変わってくると考えられます。全身麻酔の場合、ほぼ意識がない状況で手術が終わるので、術中の痛みは感じにくいです。しかし、麻酔が切れてからの術後の痛みに関しては、ケアが必要です。
全身麻酔でなく、呼吸ができ眠るくらいの麻酔であっても、効果はほぼ同じです。しかし人によっては、あまり強い麻酔を利用できず、ある程度痛みを感じていく場合もあります。
痛みはどんなときに感じていくか
手術をしていく時には、
前処置→筋肉注射→静脈麻酔→手術→術後
という流れになります。前処理は子宮口を広げていくために子宮に医療器具を利用していきます。この時に軽度~中度の痛みを感じていくことが多いです。(ここで麻酔を利用することはまずありません)
筋肉注射や静脈麻酔によって、不安を取り除き、痛みを感じにくくしていきます。
手術中の痛みに大きく影響していくのが、麻酔科指導医がいるかいないかです。
いる場合には、十分な麻酔を利用していけますが、いない場合には十分な麻酔を利用してくれることはまずありません。
痛みが出てくるかどうかは、麻酔の使い方に関わってくるので、ここで痛みの程度は大きく変わってきます。(麻酔を利用しない場合、通常の分娩と同じなので激しい痛みを感じる可能性はあります。)
術後については、痛みには個人差があり、ケアがどれだけ充実しているかによって痛みによるストレスは変わってきます。
医療機関によって方針、やり方が大きく違う点に注意
中期中絶に関しての、対処というのは、医療機関によって大きく異なります。前述した麻酔を使うか使わないかはわかりやすい例の代表的なものであり、麻酔を使わないという方針を持っている医師もいることを理解しておく必要があります。
医療機関のホームページを見れば、麻酔を利用するかしないかはすぐにわかることが現状多くなってきているので、自分が中絶をする施設の手術方法や流れは確実に見ておくことをオススメします。また麻酔科があるか、麻酔指導医がいるかどうかも確認しておくことをオススメします。
周期によって治療方針も変わるため、周期によっては麻酔を利用する医師でも利用しない選択肢を取ることはあります。
何が何でも麻酔を利用すれば良いということではなく、麻酔を使うメリットを熟知しているかどうかが大きなポイントになります。
まとめ
中期中絶では、麻酔を利用したほうが圧倒的に痛みを感じにくくなります。しかし麻酔を利用したからと言って痛みを完全に感じなくなるわけではなく、個人差、医療施設レベルに大きく左右されます。
麻酔を使わない医師、麻酔を使う医師の両方がいますが、麻酔を使う理由、使わない理由を聞き取り、自身の希望を医師に伝えていくことは必須です。
痛みをどうしても感じたくない人は、麻酔の希望をし、麻酔指導医のいる医療機関で手術を受けていくべきです。